今週のお題「日本の伝統芸能」(2003.6.12)


 先日、渋谷のセルリアンタワーにある能楽堂で、「萬狂言」というものを堪能してきました。以前から日本の伝統芸能には興味があったものの、敷居が高いような、チケットの値段も高いような気がして、いつか余裕があったら、と後回しにしていたのですが、インターネットで割引チケットが手に入りまして。作品はもとより、能楽堂という場所へ1度、足を運んでみたかったのでちょっとウキウキしてしまいました。が、能楽堂という場所はウキウキする場所ではありませんね。ゆったりとした時間が流れていて、時間にとらわれず舞台をじっくりと楽しむ、そんな伝統の息遣いが感じられました。話によると、舞台に登場する時は東から西へ向かっていくとか、多くのしきたりがあるそうで、それだけでもますます興味が沸いてきてしまいます。この「萬狂言」というのは、NHK大河ドラマの芸能考証なども含め、多岐に渡り活躍される野村万之丞さんが手掛けた一風変わった狂言。今回の演目は三遊亭園朝の「怪談牡丹灯篭」といって落語や歌舞伎などで数多く上演されてきましたが、それを野村さんが狂言として演出をし、好評を得ています。出演するのは野村万之丞さんを始め女優の渡辺美佐子さん、落語家の柳家さん喬さん、講談の神田紫さんなど、様々なジャンルの人達。なので、普通の舞台の中に、狂言も落語も講談もアクロバット(!)も楽しめてしまうんです。「牡丹灯篭」というのは「カラーン、コローン」という駒下駄の音で有名な噺ですが、「悲恋」に加え「因果応報」の世界まで見せる怪談話。灯りを落とした能楽堂で柳家さん喬さんが噺をする時は、さすがにすーっと冷たい風が通る様でした。ライブに行って大騒ぎするのもいいけど、たまには伝統芸能を嗜むのもいいものです。癖になりそう…。
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